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コアジサシ保護活動

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            コアジサシの子育てを助けられない....                             ⒸY.TOKUNAGA        コアジサシ(カモメ科)絶滅危惧種・ 全長24~28㎝  日本には夏鳥として、オーストラリアなどから渡来する。かつては海岸や河川などの水辺で集団営巣していたが、河川改修工事や海岸の護岸工事などによって、近年は埋立地などに営巣して、浅いくぼみに卵を産む。しかし、埋立地の工事などによって安定した営巣地が確保できないことから、繁殖成功率が低下している。  北九州では、北九州空港ができる以前の海上埋立地(人工島)で長年に渡り集団営巣していたが、開発工事により営巣に適した場所ではなくなり、しばらくは集団営巣地を確認することがなかった。その後、若松区響灘埋立地に飛来していたが、営巣繁殖は確認できていなかった。  2012年、北九州市が「響灘ビオトープ」として、野鳥などの観察施設を整備したことから、コアジサシの誘致を試みているが、集団繁殖地にはなっていない。同時期には、北九州空港連絡橋手前の埋立地(福岡県管理)で何度か営巣・産卵を行ったが、何らかの理由で営巣放棄を繰り返していた。  その後、2023年には北九州空港の臨時駐車場(バラス敷き)に渡来し、集団営巣し、産卵したが、ある日突然(深夜の雷雨が影響したか?)営巣放棄し、去って行った。  そして、今年(2025年)再び北九州空港の臨時駐車場に渡来し、集団営巣から繁殖行動を始めました。以下、日本野鳥の会北九州支部報9月号に掲載のコアジサシ報告を紹介します。 北九州空港のコアジサシ 子育てにがんばっていましたが、残念な結果に …  2025年6 月中旬頃(推測)、北九州空港に飛来したコアジサシは、 6 月下旬には 56 羽が確認され、その後 7 月中旬には 100 羽を超え、バラス敷きの臨時駐車場で卵とヒナも確認されました。カラスやトビの襲来に親鳥たちが群れになって追い払うシーンも度々目撃されました。舗装された駐車場にヒナが迷い込み、車に轢かれないように、見守りに行った支部会員さんによって度々助けられていましたが、中には踏みつぶされたヒナもいました。コアジサシの数はさらに増え、 200 羽以上確認されました。   そして、悲劇は突然訪れました!   7 月...

剪定作業で330本の木を伐採!

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北九州の自然保護活動・今昔(いまむかし)   福岡県内唯一の国立公園 門司区「和布刈(めかり)公園」     北九州市が剪定作業で330本の木を伐採 (2019年~2020年) 散歩する市民は 「野鳥の渡りに影響のある時期の剪定はいかがなものか!」 ※関門海峡を望む「めかり公園」は、古城山(標高175m)などからなり、福岡県内で唯一の国立公園内に含まれる。瀬戸内海国立公園として1956年指定。約46ヘクタールの特別地域を330haの県鳥獣保護区が囲んでいる。山頂には門司城跡の石碑などもあり、関門橋を一望できる。  2019年7月、北九州市公園緑地部緑政課から北九州市内の自然保護団体などの情報交換会に、めかり公園における剪定作業に対して市民から意見(苦情)があったので、「野鳥の渡りに影響のない “剪定” の時期などのアドバイスをいただきたい」という話があった。北九州市は関門海峡が望める立地から景観を楽しむためには定期的な樹木の “剪定” が必要で、公園の維持管理として定期的(3~5年毎)に実施してきたという。 ※剪定と伐採  剪定:木の成形や育成のコントロールを目的として、葉や枝を整える。  伐採:立木をそのまま1本根元から切る。 【“剪定”の状況視察と北九州市への意見送付】 2019年10月  現場の“剪定”を視察したところ、最小限範囲のようであったが、 “剪定”というよりは“伐採” であった。そこで以下のような意見を北九州市の担当部署に送付した。 『 観光の上から、関門海峡などの眺望を維持するため、定期的な樹木の剪定が必要であることは理解でき ますが、瀬戸内海国立公園の特別地域で、しかも鳥獣保護区であることを踏まえれば、野鳥をはじめとする野生生物と、それらが生息する自然環境への配慮は欠かすことができません。和布刈公園における野鳥の記録は41種を数え(野鳥の会北九州支部調査)、その中には5種(ミサゴ、ハチクマ、サシバ、ノスリ、ハヤブサ)の絶滅・準絶滅危惧種も記録されています。渡り鳥の十字路と呼ばれる北九州市における関門地区は、年中生息する留鳥をはじめ、冬鳥、夏鳥、旅鳥にとっては繁殖・越冬・旅の休息の場として貴重な地域です。都市公園であるとともに、市街地に近い鳥獣保護区としてその保全に配慮し、剪定作業についてもその繁殖等に影響の少ない作業範囲・時期にしなければ...

市街地の中に残った里山~山田緑地

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  北九州の自然保護活動・今昔(いまむかし)          市民団体が望んだ自然教育園、その山田緑地は今...                   巻末に最新状況! 引用:山田緑地利用ガイドより 【山田緑地の歴史】 引用:北九州市建設局資料より ◆ 戦前、戦中は、旧日本陸軍により弾薬等の填薬所として使用され、戦後から1972年の間は 在日 米軍が弾薬等の填薬作業を行っており、そこでの弾薬がベトナム戦争で使用されたとして、国会で問 題になったことがある。 ◆ 旧日本陸軍の山田弾薬庫跡地で、1972年(昭和47年)に、米軍より大蔵省(当時)へ返還。その後、敷地は大蔵省、自衛隊、北九州市に3分割された。 ◆ 1983年(昭和58年)3月に、一部敷地にて「北九州やまだ子供広場」を開園。その後、大蔵省管轄分の払下げを受け、1987年(昭和62年)より公園整備開始。 ◆ 1995年(平成7年)に山田緑地として開園  (残る北側の敷地は陸上自衛隊山田訓練所として訓練等に使用されている) ★ 敷地内において奇形のカエルが発見され、近隣での環境汚染が疑われたが、その後の調査・研究によって環境汚染の事実はなく、遺伝によるものであるとされた。                              (引用:Wikipediaより) 【山田緑地の自然】 <植 物> 1990年4月~9月調査     シダ植物:67種  種子植物:579種  計:646種 <昆 虫> 1990年5月~8月調査     トンボ類:54種  バッタ類:77種  セミ類:8種  カメムシ・アメンボ類:87種     甲虫類:298種  チョウ・ガ類:611種  アリ・ハチ類:60種  計:約1200種 <鳥 類> 1987年、1988年、1990年に調査  計:86種     (1963年~1986年の24年間の観察記録では127種を記録) ★近年の観察会(5月の市民探鳥会)では、25種前後が観察記録されているが、山田緑地全体としては、種・個体数ともに減少傾向。 <哺乳類> 1987年~1991年に調査  計:21種          (引用:1992年北九州市自然史博物館発行「山田緑地の自然」より) 【山田緑地をめぐる動き】1992年頃 その1. 「山田緑地に自然教育園の設置を求める会」    構成...

「曽根干潟を守る会」の活動

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北九州の自然保護活動・今昔(いまむかし)               曽根干潟をラムサール条約登録湿地に!                  イラスト:Ⓒセイブ・ソネ・ウエットランド 【はじめに】   現在(2025年1月)、北九州市が曽根干潟の後背地を開発しようという計画が動いています。その以前2017年には曽根干潟に風力発電計画が持ち上がりました(2019年に計画中止)。行政も事業者も、北部九州有数の干潟である曽根干潟とその後背地の価値を重要視していないため、いつも開発の懸念がある曽根干潟と後背地です。  今から30年前、曽根干潟の自然を守ろうと活動した市民団体があります。「曽根干潟を守る会」(セイブ・ソネ・ウエットランド)です。日本野鳥の会会員であるご主人の応援を受けて、代表を務めた女性とサポーターが精力的に活動しました。日本野鳥の会北九州支部の有志会員も活動に賛同し、一緒に活動しましたが、曽根干潟で毎月探鳥会を開催していた北九州支部自体は連携した活動ができなかったようです。曽根干潟を大切に思う気持ちは同じだったでしょうが・・・。  以下、1994年からの「守る会」活動事績(関連事項含む)をご覧ください。曽根干潟と後背地、そして周辺の自然環境が今後も保全される(今よりも悪くならないように)ことを願って、そして、今後の保全活動の参考になれば幸いです。 1994年(H.6) ◆ 「ズグロカモメシンポジウム」(2月19日)曽根干潟でズグロカモメ越冬調査の実施に合わせて開催。 主催:WWFJ(世界自然保護基金日本委員会) ◆ 「小倉南区の野鳥の生態」と題して、小倉南区役所で曽根干潟の野鳥写真展開催。(2月14日~25日) ◆ 英国のズグロカモメの研究家マーク・ブラジル氏(WWF香港駐在員)が曽根干潟を訪れた。(3月5日) Ⓒ S.TAKAHASHI ※ズグロカモメ(絶滅危惧種): 1976年、初めてズグロカモメ(2羽)を確認。  1994年2/19~28のズグロカモメ越冬調査結果:曽根干潟(220羽)、諫早干潟(200羽)、東与賀干潟(180羽)、球磨川河口(300+)など。全生息数約2千羽のうち、九州だけで930羽確認。 (WWFJによる調査) ◆ 「曽根干潟を守る会」(セイブ・ソネ・ウエットランド)3月に発足。 ◆ 日本野鳥の会北九州支部が北九州市長宛に意見書を提...

カルスト台地平尾台の自然保護活動

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  北九州の自然保護活動・今昔(いまむかし)      カルスト台地平尾台の保護活動(1988年~2008年)      「平尾台の自然を考える会」20年間の事績 自然を荒らす行為を無くし、 自然観察を楽しめる平尾台とすることを目標とした活 動               カルスト台地平尾台 (福岡県北九州市小倉南区・苅田町・行橋市)         広さ・・およそ1400ヘクタール  東西6.3km 南北2.7km         標高・・370m~680m         保護区指定・・天然記念物地域320ヘクタール(特別保護地区)                北九州国定公園 筑豊県立自然公園         昭和20年~千仏鍾乳洞が国の天然記念物に指定         昭和25年~日本観光地百選「高原の部」3位入選         昭和27年~平尾台の一部が天然記念物に指定         昭和37年~青龍窟(鍾乳洞)が国の天然記念物に指定         昭和47年~北九州国定公園指定 【平尾台の自然】  平尾台を形作っている石灰岩は・・・ 約2億5千万年前のサンゴ礁が隆起したと考えられている! その後、約9千万年前・・平尾台の周辺にマグマが貫入し、石灰岩は熱変成を受け、白い結晶質石灰岩となった! <草原の野草>       オキナグサ                  ノヒメユリ                  ハバヤマボクチ               ウメバチソウ      <草原の野鳥>        ホオジロ                 ホオアカ         <鍾乳洞>    【平尾台の自然破壊】           <草原を荒らす車両の違法侵入>                                 痛々しい草原のわだち    <野草の盗掘>              希少な植物の根堀り跡    <ゴミの散乱・不法投棄>       「平尾台はもうダメです!」  「希少な野草は盗掘され、あちこちにゴミが捨てられ、バイクが草原を走りまわっています。平尾台はもうダメです!」植物愛好家の女性は嘆いていました。自然保護が厳しい国定公園でそんなことが・・・ 「平尾台の自然を考える会」発会  1988年6月、オフロードバイク乗り...